GRAND LOVE
玉置浩二 1998年 ランキングへ
あたかもそれは誰もが人生で一番大切にしているやさしい日々の思い出、感情や情熱を故意に再現し取り返そうとする望みのない努力である。彼の声、天性のものであろうが、あまりに深く優しい。ほとんど泣いてさえいるような彼の歌は僕らの心の燠を燃やす。あかあかと、燃えれば燃えるほど想い出は痛ましくも官能的によみがえり、足元にやわらかい灰が真っ白な雪のように降っては積み重なる。
その灰とも雪とも知れぬ温もりや手触りの持つ微妙なニュアンス。
CAFE JAPAN(1996年)JUNK LAND(1997年)という異様なテンションで繰り広げられた2枚の後、1998年に発表された本作。前2作に比べ落ち着いたトーンでありながらも引き続き尋常ではない張り詰め方をしている。
ほろ苦い恋のロマンスや月の光のノスタルジア、胸を突き刺されるような別れの痛みや毎日のささやかな幸せ。ラベンダーの爽やかな風の匂い。ジャケット写真のセピア色のように炭化されながらも
あかあかと燃やされてゆく美しい燠。
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