ひまつぶし
山口冨士夫 1974年 ランキングへ
・・・・誰が、この、汗臭い、埃まみれの機械――ロックンロールという――、それに跨り、それを極限まで感動させて――狂おしいまで感動的に――走らせることができるのか。時代遅れの機械――ジャンルという限界付けられた手段ないし機会に、この鋼鉄の塊に、およそ不可能じみたスピードを叩き込み――叩きのめすことができるのか。退屈は、より以上の退屈で、絶望は、より以上の絶望でもって克服しうる魂、・・・・孤独・・・・退廃・・・・倦怠感・・・・劣等意識・・・・これらあらゆる感傷的な、使い古しのテーマでさえも、その上から、本物のきな臭さが立ち昇るほど、絶望的にロマンティックな魂で・・・・
一発で覚えられるメロディー、突き抜けるギターリフ。構造上単純な、故に暴々しいエンジンの――乾き切った――情け容赦ない顫動が、煽りたてる吐き気のようだ。――「ひまつぶし」――
ただ、それだけが、この空洞に火を放つ、唯一の、真剣な発火点となりうる時。
・・・・ロックンロールそれだけ。
その圧倒的なルックス・存在感・パフォーマンスのために、それ以前/以降のあらゆる模倣品、国産B級ロックすべてを笑いものにしてしまった一枚です。
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