大滝詠一 / A LONG VACATION

 No.24

1. 君は天然色
2. Velvet Motel
3. カナリア諸島にて
4. Pappi-doo-bi-doo-ba物語
5. 我が心のピンボール
6. 雨のウェンズディ
7. スピーチ・バルーン
8. 恋するカレン
9. FUN×4
10. さらばシベリア鉄道

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A LONG VACATION

大滝詠一  1981年                                ランキングへ


 

大瀧詠一の音楽には劣等感の痕がない。


それは彼がとりもなおさず一人の方法論者、この言葉のもっとも本質的なところの、一人の古典的な作家であるということだ。


彼はまず作品の効果を限定し、構成を定め、採光を計り、それから配色の指定へと向かう。一つひとつの選別は彼の揺るぎないシステムに従って行われ、すべての考察はただポップスという強大な機構をいかに効率よく、いかに効果的に連結させるかに向けられる。その際、個別の感情が制作のモチベーションになるということはまず考えられない。それは画面を暗くする。というのも、感情には補色という方法的な余地がないからで、それは混じり合う絵具のように色の輝きを消してしまう。そうではなくて、彼が狙うのは光のあらゆるスペクトルを一枚の画布の上で再び純白の光源そのものへと取り返すことにある。それは徹頭徹尾人工的でなければならない。風はにせ物だし、景色はかり物だ。ポップスの人工楽園。だがその膨大な機構の発条がひとたび全力で動き出し、その上に強烈な照明を投げかけるや否や、その圧倒的な輝きに、誰もが息を飲み、天然色さえ色褪せる。

 

 

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